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窓の多い家、窓の少ない家
窓は多くしても少なくしても、それぞれメリット、デメリットがあります。
「窓の多い家」と「窓の少ない家」、それぞれに特徴があるんですね。
それではまずは、窓の多い家と少ない家にはどんな特徴があるのか見ていきましょう。
窓が多い家のメリット、デメリット
窓が多い家のメリットとしては、明るく風通しの良い家になる可能性が高くなるというメリットが挙げられます。
窓の数が多いので陽の光も入りやすくなりますし、風の出入り口が作りやすいので風通しの良い家になりやすいんですね。
また、窓が多いということは、窓を通して視線が抜けやすいということです。
その結果、家の中がより広く見えるという効果も期待できます。
その一方、窓は家の中で一番熱が逃げやすい部分でもあり、窓の数が多ければ多いほど、またガラス面が多いほど家の省エネ性能は下がってしまうことになります。
冬場の暖かい陽の光が入る窓であれば良いのですが、そうでない窓は家の省エネ性能にマイナスになってしまうんですね。
また、窓を作るということは光が入る反面、外からも見えやすくなります。
そのため、場所によっては窓を作ったけども窓を開けたら家の中が丸見えになってしまうためカーテンが閉めっぱなしというケースも起こることがあるんですね。
その他、家には「耐力壁」と呼ばれる家を地震や強風から守る壁を設置することになりますが、窓が多いと耐力壁の数も少なくなり、その結果、耐震性能に影響してしまうなんてことも。
このように、窓の多い家というのは明るく開放的な家にできる反面、効果の少ない場所に窓をつけてしまうと「もろ刃の剣」となって生活に跳ね返ってきてしまうんですね。
そのため、少なくとも家の窓が多い場合は窓の性能を高めるなど、デメリットをどれだけ消せるかというのがポイントになってきます。
窓が少ない家のメリット、デメリット
それでは次に、窓の少ない家のメリット、デメリットについても見ていきましょう。
窓が少ない家の場合、やはり省エネ性能の高い家になるというのは大きなメリットです。
窓から熱が逃げないので、その結果、省エネ性能の高い家になるんですね。
(極論を言えば、家の性能を上げようとすれば窓を減らせば減らすほど数値は良くなります)
また、窓は小さな窓で数万円、大きな窓では十数万円くらいは必要になってきます。
そのため、窓の数が多い方が家の価格は高くなり、窓の数が少ない方が家の価格は下げることができるので、無駄な窓が無いというのはコストパフォーマンスという面でも優れている家と言えます。
その一方、窓が少ない家で一番多いのが、実際に家が完成したら思ったよりも暗く感じるというケースです。
そして家が完成した後に窓を設置するのは結構大変。
家が完成してから窓を増やそうとすると壁の一部を壊して窓を設置することになりますし、ただ窓を設置するだけでなく断熱材を隅々まで入れ直したり外壁も補修するなど、新築工事の時よりも大きな手間が掛かってしまうからなんですね。
そのため、光の入る明るい家を希望する場合に窓を付けるかどうか迷った時は、光の入る窓であれば窓を付けておいた方が納得感の高い家になります。
家の窓で大事なこと
ここまで「窓の多い家」と「窓の少ない家」について見てきました。
どちらもメリット、デメリットがあり、どちらの方が良いかは中々判断が難しいですよね。
そうなんです。
家の窓は多くても少なくても良くなく、一番重要なのは、「バランスよく窓を配置する」ということなんですね。
たとえば、窓の大きな役割としては、
- 家に光や風を入れる
- 寒い時期に陽の光を入れて家を暖かくする
- 外と家をつなぎ、家を広く見せたり生活を豊かにする
この辺りが代表的な役割となります。
もちろん、人によって家に対する要望は違いますし敷地条件も全く同じ土地というのは存在しません。
そのため敷地状況を踏まえつつ、要望を叶える家にするために窓を配置していきます。
その結果、多少窓が多くなる、少なくなるという事はあったとしても、極端に窓が多かったり少なかったりするというのは間取りとして何か問題があるケースが多くなるんですね。
では、どうすれば「バランス良く窓が配置されているのか」分かるのでしょうか?
それは、窓の役割を1つずつ確認することで判断することができます。
たとえば間取りの打合せの際、設計士に
「この窓はどういう役割の窓ですか?」
と確認するのはとても効果の高い方法です。
明確な設置理由がある窓には価値があり、家にとっても大切な窓になります。
その一方、明確な理由が特になく何となく付いている窓は家に必要ない窓で、家にとってもマイナスにしかなりません。
このように窓の数が最適かどうか確認するには、それぞれの窓の役割を教えてもらう。
そうすることで必要な窓だけが残り、窓のバランスの良い家にすることができるんですね。
窓の基本的な考え方
それでは最後に、窓の基本的な考え方についても見ておきましょう。
(窓の基本的な考え方を知っておくことで、窓の説明を受けた場合もより納得がいったり、疑問に思った時に質問するきっかけとなってくれます)
まず、窓の基本的な配置方法としては、南面は明るさと冬場の日射取得のために大きめの窓を配置し、その他の方角の窓は少なめにするというのが基本的な考え方になります。
昔は窓に関して設計士の感覚で付けたり説明されることが多かったですが、実際に省エネの計算をすると必要ない窓は減らして陽の入る窓を大きくするというのが省エネという観点では一番効果が大きく、最近ではこのような考え方が主流となってきています。
これにプラスして、家の明るさ、見え方、風通しという点も加味することで、省エネ性能に快適性を備えた家を作ることができるんですね。
では、具体的に場所別の窓について見ていきましょう。
LDK
LDKは家の中心で人が一番集まる場所なので、快適性と明るさなど全ての要件を備えたスペースにする必要があります。
その分だけ窓の難易度も高くなる場所ですが、基本的な考え方は共通しています。
たとえば都市部近郊の住宅地の場合を見てみましょう。
住宅地では両隣に家が建っているというケースが多くなります。
そうなると東西からの日射はほとんど期待できず、また窓を多く取るとお隣の家から中が見えてしまう可能性も高くなるので、基本的には南面に大きな窓を取り、東西は風を抜くための小さめの窓を設けるというのが基本的な窓の配置となります。
もちろん、真南ではなく方位が振れているケースもありますが、周りの環境を見ながら冬場にどれだけ日射を取得できるかを見ながら窓を配置するかがポイントになるんですね。
たとえば、南側に6mの家が建っている場合、真冬の場合は5mだと家まで日の光が届かないケースが増えます。
南側に大きな窓を付けたとしても、実は冬場は太陽の光が入らないなんてこともあるんですね。
そうならないためにも、周りの敷地環境に合わせた窓の配置というのが家づくりでは特に重要になってきます。
その他、LDKでは庭がどう見えるかという点も意識しておきたい部分です。
いつもカーテンを閉めっぱなしになる窓と、カーテン無しでもプライバシーが気にならず外が眺められる窓では、生活の豊かさという点で大きく違ってきます。
また家の中からどう見える窓にするか。
この辺りが設計士の腕の見せ所で、綺麗に見える窓は家の雰囲気をグッとアップしてくれます。
ちょっと家にこだわりたいという方は窓の見え方というのもぜひ意識してみてくださいね。
その他、南面からの光は期待できない場合、東西方向に大きな窓を配置するというケースもあります。
その場合、やはり夏の日差しは意識しておきたい部分です。
実際、夏の暑い時期は夏至からしばらく時間が経つので朝夕の太陽の角度は意外と低くなり、その分だけ熱が家に入ってきてしまうからなんですね。
実際にデータで見ると、真夏は南面よりも東西面からの日射の方が多いのが分かります。
そのため、東西面の窓から熱が入りすぎないようにするのがポイントとなってくるんですね。
その場合、「すだれ」や「シェード」など家の外で日差しを遮ることができると一番効果が高く、それが難しい場合もハニカムスクリーンなどを使ってできる限り熱を防ぐよう意識しておく必要があります。
寝室、子供部屋など
寝室や子供部屋の場合も基本的にはLDKと同じ考え方となりますが、日中にあまり滞在する部屋ではないので、日当たりという面ではそこまで気にしなくても問題ありません。
その一方、「朝起きた時に朝日を浴びれるようにしたい」という声も多いので、東側から光が入る場合は積極的に光を入れておきたいですね。
また、部屋に窓が1つなのか、それとも2つなのかで風通しというのはかなり変わります。
窓が1つだと風の出口がないため風が入りにくく、窓が2つだと風の出入り口ができることで部屋の中を風が通るようになるからなんですね。
そのため窓が1つしかない場合は、小さな窓を2つに変更するなどして風通しにも配慮しておきたいですね。
玄関
玄関は家の顔ともなる場所なので、真っ暗な玄関というのは避けたいところです。
「日中は家に居ないので玄関の明るさは気にしない」というケースもありますが、たとえば共働きの家庭でお子さんが昼間帰ってきた時、玄関を開けると真っ暗な家が広がっているというのは大人が思う以上に怖く感じるものです。
また、大人にとっても昼間に玄関ドアを開けて真っ暗というのは、家の印象という面でも大きく損なってしまい、「もったいない家」となってしまう可能性が高くなります。
理想は明るい窓がある玄関ですが、それが難しい場合でもほのかに自然光が入り光の陰影を楽しめるような空間。
そんな玄関を目指したいですね。
窓が取れない場合は、玄関近くの他の場所、たとえばLDKなどから玄関に光が入るようにするというのも効果的な手法になります。
水回り
トイレやお風呂、洗面などの水回りは、一戸建ての家であれば基本的に窓が付いています。
そのため、窓を付けるのが当たり前という感覚になりますが、一度窓が必要かどうか冷静に考えてみるというのも効果的です。
たとえばマンションなどでは水回りに窓があるのはレアケースですよね。
マンションでは外に面した壁が少なく窓が取れないというのが大きな理由ですが、実際に窓が無くて不便という話はあまり耳にしません。
今では換気がしっかりされているので、窓が必ずしも必要という訳ではないからなんですね。
では、水回りに窓が必要かどうかの判断基準はどこになるのか?
それは、窓から光が入るのかどうかという点です。
実際、自然の光が入る水回りというのは気持ちいいもの。
お風呂であればカビ対策にもなりますし、洗面であれば自然の光を通して鏡を見ることで、より自然な表情を確認しながら身だしなみを整えることができるようになります。
一方、光が入らない窓であれば窓の価値は下がりますし、換気の面でも換気システムがあるので窓を開ける必然性は低くなります。
また、中途半端に窓が有ると型ガラスにしてもシルエットが写ってしまうため、返って邪魔になってしまうしまうことも。
そうであれば、いっその事窓を無くしてしまう事で家の省エネ性能を上げることができますし、窓の分だけ予算を他に回すこともできます。
このように、水回りの窓は価値が有る窓なのかどうか。
この点を確認することで、より家の価値を高めることができるんですね。
廊下、階段
廊下や階段も、明かり取りと風通しという点で窓が欲しい部分です。
たとえば先ほど玄関の部分でも触れましたが、小さなお子さんにとっては2階に続く階段が真っ暗というのはやはり怖く感じてしまうもの。
真っ暗な階段がぽっかり口を開けていては、2階に上がるのを躊躇してしまったり、暗がりを嫌う原因ともなってしまいます。
そうならないためにも、自然な光が入るようにしておきたいですね。
また、特に気をつけたいのがリビング階段の場合。
間取りを見ているだけでは気づかないことも多いですが、実際にリビング横に真っ暗な階段がある間取りというのも意外と多くあります。
その場合、せっかくのリビング階段なのに雰囲気的にも台無しになってしまうんですね。
そのため、階段には少なくとも明かり取りと風を通すための窓は設置しておくのが正解となります。
廊下や階段というのは、通路としての役割が大きいので明るさについて意識しないケースもよくあります。
ただ、場所と場所をつなぐスペースなので通る回数は多く、この部分が暗いと家の印象は暗い方に引っ張られてしまいます。
そうならないためにも、廊下や階段といったスペースにも気を配っておきたいですね。
家の窓は多すぎても少なすぎても家への影響が大きく、いかにバランスが取れた窓にできるか。
まとめ
今回は、家の窓の数について詳しく見てきました。
これがとても重要になるんですね。
そして、窓の役割を確認することで、価値が有る窓なのかどうかが分かるようになります。
また、ここまで見てきたように省エネ性能を考えると光の入る南面の以外の窓は極力減らした方が省エネ性能は高まります。
その一方、光を取るべき窓を無くしてしまう、もしくは設置しないことで、家の印象や雰囲気というのは大きく変わってくることになります。
この事を踏まえつつ、省エネ性能と明るさのバランスを見ながら窓を配置する。
これも大切なポイントなんですね。
ぜひ今回の内容を参考に、一度窓にも意識を向けて見てくださいね。